いまどきの飛行機事情

今回も、エコノミークラスで帰ってきた。自分で払うのだから、いたしかたない・・
しかし、こうしょっちゅう旅をしていればマイルも貯まる。まったく無頓着だった私に「堀米さん、マイル使えますよ」とアドヴァイスしてくれた友人がいてこのところ、「ただチケ」のお世話になっている。

「ただ」とはいうものの、税金がかかる。350ユーロと言えば5万円近い。時々ビジネスクラスプロモーションとかがあってなぜかエコノミーよりビジネスのほうが少ないポイントで乗れたりする。

ちょうど前回はそれにあたり、その上、満席で、私はアップグレードされ、14年ぶりにファーストクラスに乗った!先回14年前、まだ道子がお腹にいる時だ。いたれりつくせり・・・の雰囲気を少々へきえきしながらも「ああ、これがファーストクラスなるものか」と思ったものだ。

今回のファーストクラスは、それこそ14年間の間に進歩した技術、テクノロジーの粋を集め、ほとんどまっすぐ横になれる。シーツ。新しい羽根布団、おまけにパジャマまである!おいしい料理とワインに舌鼓を打ち、あとは「ゆっくり寝てください」のおもてなし。しかし、料理もいまいち。挙げ句の果てに、せかされるような、「布団しきますから」の態度はがっかりだ。大体において国際線のスチュワーデスたちも外国系の航空会社の場合、往路、つまり日本発の便の勤務は疲れていることが多い。当たり前だ。2日休んでまた国際線勤務・時差もなにもあったものではない。それを月に2度か3度?
以前よく「花形職業」と言われたパイロットたちも今は、半数は「家庭」を維持することが難しくて離婚している。

背の低い私は、すでにビジネスクラスの中途半端に上がる足置きや背もたれは背骨に合わず、また立ち上がろうとする度に、四苦八苦。本当は「正坐」が一番背中が疲れずに済む。まったく貧乏性だが、エコノミーの通路側で爆睡することの方が性に合っているらしい・・・もちろん「空間」の広さは大切だが。

今回もしかり!パリ行きのファーストクラスでは、なんだかもんもんとした寝られぬ時間を過ごしたのに、フランクフルト発のエコノミー東京行きではうつらうつら結構快適に過ごした。料理の質もはっきりいってファーストもエコノミーもこの頃大差ない。ヴィデオが壊れていた・・・こともあって本を読む他は目を閉じて、・・・推理小説の面白いのにあたり、東野圭吾「容疑者Xの献身」2度も読んだ!
そう言えば、前回ファーストクラスのヴィデオも壊れていたなあ・・・せっかくの面白い映画の最後を見れずに終わった・・・「数週間前に、初乗りしたばかりの機材なのですが・・」とパイロットがしきりに謝っていたが・・

要するにエコノミーもビジネスもファーストクラスも「あまり変わらなくなっちゃったなあ・・」というのが今の私の感想だ。それに以前あったような、「エコノミーのわいわいがやがや、でもなんか親切な、短期生命共同体、みたいな感覚。ビジネスのちょと気取った人たち、あるいは本当にエリートビジネスマン。ファースクラスに乗ってる初老のご夫婦。ゆったりとした雰囲気・・・
みななくなりつつある。

世の中もしかり。なんだか「平等」の名のもとに、夢も無くなってきたらしい・・・

以前マリア・カラスが言っていた言葉。
[chaqun a son métier] すべてひとには、それぞれの職業がある。
掃除人には掃除人の。料理人には料理人の。歌手には歌手しかできないことがあった。

それこそが、真の意味の「評価」「平等」であり、そこに「お互いの」尊敬が芽生える・・・と私は思う。いずれにせよ、「せこせこした」気分ではいたくないものだ。

2008年10月 東京にて
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