東大演劇同窓会

東大演劇同窓会の公演を見た。尊敬する知人が出演しているのを以前から観劇したかったのだが、なかなかスケジュールが合あわず!
今年4年目にしてやっと、観に行くことができた。
物語はシェークスピアの「十二夜」
本を読んでもあらすじを読んでも数行で{ええ?どうなってるの?}と話がわからなくなる。シェークスピア独特のお話の難しさ。複雑さ・・・
でも劇が始まるときちんと筋が追える。さすが、「戯曲」として書かれただけのことはある。

主役のセバスチャン[男]とその双子の妹ヴアイオラの2役を一人の人がこなす。
それにまつわるいろいろな「思い違い」そして「恋」

女心も男心も「恋」をしたとたんに変わる。
高飛車だった王女が「はにかみ」はじめる。
威厳高き王が、おろおろする・・・

年齢のなせる「まやかし」
お小姓の「少年っぽい」魅力はその肌の色。口びるのあでやかさ、身の引き締まった軽やかさ・・・女心が実は、その「少年」の中にかくされていて・・・

その辺のところの心理描写も巧みならば、それを演じた役者さんも素晴らしかった!
古今東西、語りつくされ、まだまだやまぬ「恋」の物語。

「惚れる」きっかけは思いがけぬ偶然にある。
ふとした横顔。
手先の美しさ。
一気にそれが拡がって今まで目の前にいた人の見たことのないような姿・・全身・・を始めて「観る」ことになる。
「目」でみた印象は一気に「心」にすーっと落ちていく
「なぜ今まで気がつかなかったのだろう・・」
そうなるとおしまいだ。

時間の観念がなくなる。その人の「すべて」が美しく見える。美しくしか、見えない。ここが問題だ。
いつもいつも一緒にいたくなる。「今どうしてるかなあ?誰となにしてるのかなあ?」

さりとて会っている時は、どうしてよいか分からないから余計のことを口走ったり、わざと「つっけんどん」になったり・・・。

帰ると反芻する。「ひと時」の一瞬一瞬を思い煩う・・
なにやら暖かいものに「包まれている」ようで、見るもの、聴くもの、みな美しく思える。
新緑が美しく、花が美しく、夕空を見上げてはかの方の顔を思い描く・・・
周りから見たらどんなにか「にやけた」顔をしているのだろう。
見える人によると、「恋の陥っている」状態の人のオーラはハート型だそうだ・・

「恋」とは案外会っている時よりも「会っていない時」の過ごし方にあるような気もする。
「思い」があるからそれをたしなみで「秘める」

秘めるが花

この劇中の「ヴアイオラ姫」もお小姓に化け、しかしその仕えている主人に恋してしまう。そんな心のうちはいざ知らず。そのご主人は、「オリヴィア姫」に首ったけ。その「愛の使いっぱしり」をやらされるのが、ヴアイオラ姫扮する、お小姓のシザーリオ。そしてその「美少年」に恋をしてしまう、オリヴィア姫というわけだ。

劇の結末はその「からくり」も無事皆にわかり、ハッピーエンドになるのだが、はてさて一人二役のヴアイオラ姫=シザーリオの登場はいったいどうするのだろうとハラハラしながら見ていると?
その男役である「シザーリオ」を呼んでこようという合間にその時まで、
「もう結婚したのだからこの人は私のもの」とオリヴィア姫
「いやあ、わたしのお小姓だったし、わたしの妻になるべく人は僕のもの」
と王様。

いいオトコならぬ「人」は女性からも男性からもひっぱりだこ!
という形で幕となった。

なかなか「心憎い」演出だ。

また素人集団とはいってらっしゃるが、学生時代から50年にもわたる年月を経て演劇をやってこられた、「思い入れ」はそれだけで、とても純粋な「力」となる。心に残る。

ブリュッセルに帰ってきても反芻して、楽しんでいる。

いいものを見せていただきました。ぜひこれからもお続けください。

2008年4月 東京にて


25年来の友人(…のつもりで私がいる)岡本和也さん
ホームページをやってくださっている山田みゆきさんと私
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