子供が育つ・・・

演奏旅行から戻る。
パパと子供たち3人のサバイバル生活もだいぶ板についてきたようだ。
長い旅から帰ると美味しい「かぼちゃのスープ」が待っていた。

子供たちはそれぞれの部屋にいてなかなか出てこない・・

それでも嬉しそうに、『お帰りなさい』という声に、ありとあらゆるお土産を開けるこちらのほうが興奮状態だ。
「よく持ってきたね」 >と、なかば呆れ顔の娘。
このところ、だいぶ大人っぽくなってきた。
私が、日本とベルギーを行ったり来たりするのも、
「よくやるね」 と言われた。

「ホント、ママよくやるよお」 と私、自らつぶやいてしまう。
数日たち・・・だいぶ主婦業にも戻り・・・
彼らの生活は普通に。(というか私の生活が普通になった?)

パパは待ってました!とばかりにひたすら出かける。
もうすぐ、自分のオーケストラ「 シャルルマーニュ 」 の演奏会がある。
私たち2人の音楽家のスケジュールは、今までのところ、別に合わせた訳でもないのだけれど、案外うまくいっていて、どちらかは必ず子供と一緒にいられるようになっている。
どうしてもダメな場合はテレーズおばさん。このごろは私の生徒も、遊び友達のように、かり出されることもある。

綱渡りのような生活で一番困るのは『子供たちだ!』。
しかし、私もパパも『人に頼むより、自分でやりたい。そのほうが、子供と密着できる』と思っている(らしい・・・)
3人で結構楽しんで暮らしている(らしい・・・)
子供たちは、学校から帰ってくると
「パパは?」と必ず聞く。「今日はいない」「今日は夜帰ってくる」
その都度「フーン」とだけ答えが返ってくる。

私の不在時はどうなのか・・・
日本ではいくらなんでも遠すぎて、とにかく「いない」のだろう・・・

息子が、夜寝るときになって、
「ママ今度いつ行くの?」『11月10日』
「どのくらい」『20日ぐらい・・』
「長い・・・」
「その後は?」『1月までヨーロッパだよ』
「それから?」『またいない・・・一緒に行く?』「・・・・」
「それから?」『・・・・・』

いなければいないで育つ子供たち。
いればその度に後ろ髪を引かれる思いで出かける私。

でもコンサート「やりたい!」

本当の淋しさなんていつくるのかわからない。
学校でふと「ママいないんだ」と思うのかもしれない。
寝入り際に、なんだか背中が寒い・・・のかもしれない。
勉強なんて「面倒くさい」って思うのかもしれない。

いつも電話するとパパは「Evrything is under controle!」と言うし、
子供たちは「大丈夫」と言う。
親子といっても、当たり前のようにいること。
当たり前のように話をすること。
それはいつも相手が自分の思っている通りではないという前提の上に成り立つ。
ちょっとした『踏み込み』が必要。
ちょっとした『観察』が必要。

押すと引く。
何も音楽に限ったことではない。

何よりすごいのは、そうこうしているうちに時がたち、離れてゆく事だ。
行きつ戻りつしながらも確実に彼らの歩みをすることだ。

私のように行ったり来たりで、『忙しそう』にしていて、気が付いたらもう10年?と言っている間に、彼らの時間は進んでいって、人格は形成されてゆく。

どこまで関わっていられるのか・・・
喜怒哀楽を共有できるのか?

きょうはブリュッセルで「ノーカーデー」
天気も秋晴れ!すがすがしい空気の中、みな思い思いに、自転車を走らせ、ローラースケートで、普段は『車専用道路』を走りまくる。一度この日にパリから帰ってきたことがある。
いつも20分の駅からの道が1時間、タクシーがすまななそうに自転車のあとを付いてのろのろ運転・・・

我々家族は?
パパはあしたの演奏会に向けて一日中オーケストラの練習。今回はコーラス。歌手。俳優。画像。照明といろいろあって大変そう!私だったらその「オルガニゼーション」だけでも目がまわるだろう。毎晩その「つきあい」だか「そのついでに食事」だかで、けっこう意気揚々と帰ってくる!
つくづく『指揮者とソリストとはまったく違う商売だ』と思う。


娘はアルデンヌ地方で、トライアスロンの大会に出場。自転車を乗っけていけるパパの車が使えないので、昨日から友達の家に泊まりこんで今頃は400m水泳。14キロ自転車。4キロ走る・・・と頑張っていることだろう。

昔・・・といってもつい数年間は私もストップウオッチ片手に車で(とてもじゃないが走ってはついていけない)尾行・・?辻々で『頑張れ!』と声援を送った。
次の年はもうそれも追いつかず、泳いでいる間は、カフェーでコーヒーを飲みながらストップウオッチ見て・・・プールが終わると出発点に立って、ひたすら帰りを待ちス、トップウオッチを続ける。携帯電話のこの機能が作業するのもこの時のみ。
このごろは自らクラブに入ってトレーニング。一度『大会』についていったことがあるが、場所。準備、おろおろするのは親の方。その上、晴れの姿を写真で取り損ねたりする・・・

今日は、うまくいきますように・・・

息子は「ママつまんない!」と、さっさと友達と出かけてしまった・・・
それでも、なんとかかんとか電話などかけてきて「何時までここ」とか「これから森行くから」とか。
「はいはい・・」
と私はひとりで、これを書いてる・・・

いやあ・・・家族はひとつ・・というのは難しいもんだ!

2007年9月末 ブリュッセルにて
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