子供たちが帰ってきた!

昨晩6か月のエラスムスプログラムを終え、道子がロンドンから帰ってきた。エラスムスシステムとは現在在籍している大学からヨーロッパで登録されているところならどこでも、勉強しにいけるというシステムだ。私の音楽院にも毎年数人は必ずやってくる。期間は6か月から1年。申請してからもちろん受け入れ先の先生なり学校の部署の了承が必要。道子の場合ベルギーのラカンブルという美術大学からロンドンのサントマーティン美術大学への出向。授業料はベルギー並みというまさに天から降ってわいたような贈り物だった。なぜならベルギーの大学の学費は年間900ユーロ、ロンドンは年間20000パウンドするのだから!!

海を挟んでいるがさすがに近いのでドイツに帰る友人の車に荷物積んで引越し完了!

1週間前にはカーニバルの休みにしては数日早くマストリヒトの経済学部1年に行っていた左門が帰ってきた。
こちらは「モウイヤダ」というわけ・・・
高校時代友達とやった「ミニ経営」に味をしめ商売に興味を持った彼は「ビジネスのディプロマがあれば」と安全策を取ったつもりだったのだろう。実際は一応ガイコクの一人暮らしに英語での授業。人付き合いの良い息子は3日間もいれば必ず誰か連れ帰ってくるのに友達もできなかったという。
クラス内での「将来の展望」について語る学友たちの会話に違和感を感じたらしい。「ここで卒業証書もらってアメリカに行って箔をつけ、帰ってきていい処に就職、結婚、家庭を持つ」といった夢も計画も左門にはない。「なぜ?」と思う事しきり。勉強は「お金、お金、儲け儲けばかり」で面白くないという。
この2つが重なるとかなりきつかったことは理解できる。

子供たち二人が帰り、お正月が遅れてきたような賑わい?
のはずなのだが「またおさんどん~」の感はぬぐえないのが正直なところ。

私自身はそれこそ降ってわいたような久々の休日を満喫していたところだ。
3月の曲の仕込みをじっくりできる。ブラームスのホルントリオ。マルタ・アルゲリッヒと弾くかもしれないバッハのチェンバロソナタ、そして練習のあとはフリー!!!

「空の巣」の空虚感を味わい肋骨骨折までしてかなりくたびれた昨年秋、思えば1昨年8月に亡くなったロイ先生の空っぽ感も体が感じていたかもしれない。

はてさてみなさんどうしていくのだろう?
親としては日本のような「大学入学金」がマストリヒトでもなかった事でホッとしている。
その分簡単に口を出して、「日本に行って日本語きちんと勉強しなさい。本当にコミュニュケーションやりたいならディプロマの良しあしなど気にせず好きな事、ヴィデオクリップ作る作業をすればいいじゃない!ドイツのハイデルベルグに「日本学科」あるよ、ドイツ語を勉強するプレカレッジに今から入って・・」と立て続けの攻勢に娘いわく「ママ口出し過ぎ」
その割には現地視察もなく、見守る、という姿勢しか取れていない私は本当に口だけだ!

黙って壁となって立ちはだかるべきなのか・・・それとも生徒たち、特に男子生徒を教えていて思う「男の子は30歳までどうにもならない」のルールを重んじて許容していくべきなのか?

そもそも私自身58歳になっても実家に帰る事年間数回、そのたびに大きな顔して「我が家」に入り浸る後姿も彼ら、子供たちに見られていたに違いない・・・

一気に倍増した洗濯物の処理、アイロンかけをしながら「仕方ないか~」と思うこの頃である。

            2016年2月17日ブリュッセルにて




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