参勤交代

養老孟司の本を読んでいたら「参勤交代の勧め」という文章にぶつかった。
なるほど!と目からうろこ。私がやっているのはまさにそういう事かと思った。

「このままここでずっと」と思う事しばし。なぜベルギーなぞまで行って住んでやっているのだろう?と日本の実家で思う。

「このままここで」とベルギーのうちで思う。老いてゆく過程はいったいどうしたらよいのだろうか?もう絶対に飛行機になど乗らない、と思う事もある。

しかしながら仕事上行ったり来たりしていると帰ってくると出たときのそのままの生活・・・が続くので人よりは何倍も時間がかかって物事が変わっていく。思い込んでもそれが「あれなんだっけ?」と忘れてしまうからだ。そういうわけで「改造計画」出すこと既に10年以上。来た設計士も「またですか・・・」と呼び出されること数回。今だに我が家の冷蔵庫は30年物、居間は変わらず練習するための防音部屋もない。

家族の「共通意識」に甘えて私がいるときはで~んと私しか使わない。その居間も帰ってきてみると子供たちのもので一杯になっている。それでも「またママいなくなるときまで」と期限付きのがまんはしようがある。荷物をもって部屋に引っ込む彼ら、そうこうするうちに彼ら自身が出ていき、1人が2人になり4人になり、また3人になり4人になった居間も全く姿を変えずに1989年引越し以来の姿を保つ。これも私の「参勤交代」のおかげなのだ。

変化がない事がよいわけではないがなぜ江戸時代があれだけ長く続いたか・・のヒントでもあるかも!

                      2015年4月ブリュッセルにて

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