ボヘミア幻想
どうしてもブラームスを聞きたくなった。ちょうどルドルフ・ゼルキンのEessentialという
アルバムがありその頭がブラームスのピアノコンチェルトの2番だった。
いつもならこのような楽章のみのようなものは聞かないのだがCDを聞き始めた。なつかしい、
なんというレガートなゼルキン先生の音だろう・・・
そしてシューマン、メンデルスゾーンと聞いて行くうちにはたと気付いた。
ルドルフ・ゼルキンはチェコ人ではないか,
それもボヘミア生まれの!!
そう思ったらとたんにあのはにかみ顔とその下に隠れている鉄のような意志、
そして一見冷徹なまなざしの奥にある限りない愛情を思い出した。
メンデルスゾーンはライプチッヒ生まれ。ドレスデン、ライプチッヒ、そしてプラハとそう遠くない
つながりがある。彼らの心がある。音がある。
そうこうしているうちに曲集はモーツアルトのコンチェルトd-mollとなった。なんとまあ、
憎いまとめ方だろうと思う。
今日は15年来の本棚を整理していてさっきクララ・ハスキルの写真集をみつけたばかりだ。
ハスキルといえばこのd-mollをエリザベートコンクールのチャペルに閉じ込められている10日間、
友達が作ってくれたカセットテープで聞いていたものだ。
いろいろな想いが交差して、そして皆の人生を思う。
長いようで一瞬の光芒にすぎず・・・その中の瞬間の想いは古今東西変わることない。
だから私たちは古典と呼ばれるクラシック音楽をこんなにもいとおしく、こんなにも新鮮に
感じることができる。
2013年9月末ブリュッセルにて