音楽のこころ

娘の友達がやってきて(これから歌の試験なんです。お願いだから一度ピアノ伴奏してくれませんか?)という。アカデミーに入っている彼はこれで試験も終わりだという。

モーツアルトのアリアと何やら英語の曲を伴奏した。
彼は幼いころからコーラスに入っていて、ブリュッセルのオペラ座「モネ劇場」の少年合唱隊でもかつて歌っていたという。
変声期になり今年一年はソロの歌を勉強したくてアカデミーに通い、その最終試験だ。トライアスロンもやっていて、その上学校の卒業試験といろいろあり、なかなか練習できなくて(最後の頼み!)と言った感じで駆け込んできた。
ドイツ語の発音もいろいろおぼつかないけれど音程は良い。私は歌の伴奏などしたことがないし曲も知らないのだが、初見でえっちらおっちらやってみた。ちょうど生徒達の試験も終え、少しほっとしたところでもある。

「Die shonest , die shonest..」(きれいな人、一番きれいな人)と歌うモーツアルトの節回しの何と美しく響く事か。
「秋の葉は暖かい・・」という英語の曲も伴奏と相まってクライマックスを迎える。イギリス人のお父さんを持つ彼にとっては母国語だから、やはり説得力がある。

やっぱり、モーツアルトもう一度・・というのだが私は本当に久々に「なんて美しいのだろうか・・」と心からこの初見伴奏を楽しんだ。彼らはこうやってクラシックも楽しみ、また民族音楽、ジャズ、ロック、と何でも聞く。

これから世界に羽ばたこうという高校3年生のいろいろな夢がある。

ちょっとだけそんな彼らの時間を共有できて楽しかった!

2012年6月 ブリュッセル
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