ハッセルトの日本庭園、春光その一
娘道子の初の個展が桜満開、春爛漫のハッセルト日本庭園で始まった。今年は桜の開花が早かったので従来明日オープンを1週間早め先週日曜日に一般公開日を一日設けたのだ。全く桜は予想がつかない。
鳥居をくぐって駐車場・・・また鳥居をくぐると庭園内に入る。
日本そのものの美しい公園が現れる!それにお天気と桜でなんという人の多さだろうか。まるで新宿御苑のようだ!
押し合いへし合い、袖触れ合うも何とかの縁?とばかりの混雑の中小道を歩く。
小川が流れ石橋が架かり、あらゆるところに桜が咲いている。こぶしの花も満開だ。池には鯉。池の向こうには日本家屋があり、あれ?よく見ると道子の作品ではないか!外壁に絵が描いてある。かなり大胆な色使いで真ん中に大きな丸。アトリエで見たときは一体これはどうなるのだろう?と思って心配したのだが確かに遠景、池の向こうの外壁にはちょうど良い感じだ。他の角度からは池の水が絵に反映して揺らぐ~雨でもいいかもしれない・・・若い時から渋い色ばかり描いてきた彼女の初めての明るさ、大胆な色使いに嬉しくなった。
「日」という文字を1メートルほどの金属で立体的に組み合わせ、床に置く。下に一文字、また縦中央にも一文字立てる。床の「日」の上にガラスを置き外の景色を反映させたオブジェがあった。「日」という漢字と「春」という漢字の説明がしてある。春とは日の光が草を押し上げてエネルギーを与える、という字の成り立ちだそうだ。
「春光90日、90 days of light」個展のタイトルだ。
6月までの展示だ。
ちょうど今そのオブジェには満開の桜が映っていた。
[憩い庵]と名付けられた家屋にはいる。その中の襖絵も彼女が描いた油絵だ。左から右へ春のパステルカラーがだんだん夏の色になっていく全長20メートルの8枚の襖絵が中に4枚、外に4枚。大作だ。憩い庵入口のお休み処では昨年ラカンブル美術大学院卒業制作の日本とベルギー同時進行の空の様子がスクリーンに映し出されている。そしておばあちゃん、私の母との電話という声を通じて語られる。こちら朝やけ、あちら夕焼け、だんだん暗くなり、片方明るくなり・・・
あそこで母の声を聴いた私は立っていられなくなった。
外に出ると白い石を敷き詰め、水落しのある本格的日本の建物だ。小高い丘に上がると茶室がある。
ここで彼女は炉の下から「春光」春の光の演出をした。プレクシーグラスを張り詰めそれに赤、オレンジ、ピンクととてもきれいな色だ。
控室では1200度で焼いた銀杏の葉っぱの陶器が床にちりばめられている。真っ白な薄い陶器の中には壊れているものもある。そして金継ぎをしてある
。
良くここまで庭園一杯使っての個展をさせてくださったものだとハッセルト市に感謝するばかりだ!
道子の第一歩。ブラボー!!
2019年3月31日ブリュッセルにて